私たちが万博に行く理由
『大阪・関西万博』の開幕まで2週間を切りました。
開催地である夢洲のメタンガス発生の問題だの、チケット購入時の個人情報流出だの、万博に関するネガティブな報道が目立っていますが、なんてったって55年ぶりの大阪での開催です。

1970年の『大阪万博(EXPO’70)』の頃は、トヨタの自動車やNational(現Panasonic)そしてHITACHIの電化製品という、日本の産業の根幹を担っていた企業たちの技術と叡智が披露され、世界での日本の地位を確固たるものにする機会となりました。
そして2025年現在、日本のマンガやアニメなどのカルチャーは、世界でも根強く支持されていますが、かつての最新技術やジャパンクオリティと謳われていた自動車や電化製品という、”産業”は、果たして今も第一線を維持し続けられているでしょうか。

2023年には国内総生産(GDP)が、米国・中国、そしてドイツに抜かれ4位の日本も、2025年にはさらにインドに抜かれ5位の予想がされています。いまだに日本を先進国として認識している国民が多いかもしれませんが、この記事をご覧になっている電子機器は、米国のApple社のものではないでしょうか。
参考:「【2024年最新】世界GDPランキング なぜ日本は4位に転落したのか?」

4月13日より始まる『大阪・関西万博』で、世界各国の進歩を目の当たりにし、今のニッポンの”技術・クリエイティビティ・知見”を知る必要があります。
少々時事的な言及をしてしまいましたが、万博に関するネガティブな報道や周囲の無関心を肌で感じていると、危機感を覚えます。
エンタメとして楽しむという目的も大切ですが、160以上の国と地域が一堂に集うこの機会に、私たち日本で暮らす、未来を担っていく大人・子ども世代はきちんと向き合うべきです。
万国博覧会とは何なのか、なぜ開催するのか、についてはこちらの記事をご覧いただくとして、具体的に『大阪・関西万博』の見どころや注目パビリオンについて独自の視点で紹介します。
シグネチャーパビリオン
『2025年大阪・関西万博』のテーマを知っていますか?
「いのち輝く未来社会のデザイン」です。
人間中心ではない多様な”いのち”のために、どんな未来をつくってゆくのか、を8人のプロデューサーが深掘って表現しました。それが「シグネチャーパビリオン」。
メンバー8人 *詳しくは▶︎

・河森 正治氏 アニメーション監督
【いのちめぐる冒険】
メカニックデザイナーとして、『機動戦士ガンダム0083スターダストメモリー』、『攻殻機動隊』、ソニーのロボット“AIBO”『ERS-220』のデザインなどを手がける。
Instagram
・中島 さち子氏 ジャズピアニスト・数学研究者
【いのちの遊び場 クラゲ館】
日本人女性唯一の国際数学オリンピック金メダリスト。著書『人生を変える「数学」そして「音楽」』ほか、音楽・数学・教育の3つの分野で活動中。
・宮田 裕章氏 慶応義塾大学教授
【Better Co-Being】
・小山 薫堂氏 放送作家、脚本家
【EARTH MART】
・河瀨 直美氏 映画監督
【Dialogue Theater -いのちのあかし-】
映画「殯の森」がカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。奈良出身という縁で、近鉄電車のラッピング車両をプロデュース。”今日が人類最後の日だとしたら、あなたは誰と何を話しますか?”などの問いかけが中吊りに。
・落合 陽一氏 メディアアーティスト
【null2】
筑波大学准教授であり、主宰するデジタルネイチャー研究室では、ユビキタスコンピューティングの先に「計算機自然 (Digital Nature)」の到来を見据えというもの。「news zero」などメディア出演多数。
・福岡 伸一氏 生物学者、青山学院大学教授
【いのち動的平衡館】
・石黒 浩氏 ロボット学者
【いのちの未来】
アンドロイド研究の第一人者。『大阪・関西万博』を機に生まれたアンドロイドアバター”ヤマトロイド”と”アスカロイド”がいる50年後の未来の追体験ができる。
見どころパビリオン

万国博覧会の目玉といえばやっぱり、パビリオン。マップが細かくて恐縮ですが、大きくは、大屋根リングの内側に海外パビリオン、外側に国内と民間パビリオンが配置されています。
・先述の8人のプロデューサーが主導する「シグネチャーパビリオン」
・国などが主導する「国内パビリオン」
・民間企業が主導する「民間パビリオン」
・海外の国が主導する「海外パビリオン」
上記、4種類のパビリオンが出現します。
それでは、海外パビリオンと国内(シグネチャー)パビリオンを厳選して、それぞれ3つご紹介します。
海外パビリオン
サウジアラビア

構造体の被覆は、軽量なサウジアラビアの石でできており、効率的に解体・再組み立て、あるいは完全に再構成できる設計。省エネルギー照明器具の採用、雨水のリサイクル、太陽光発電技術の導入など、持続可能性を重視。
次回2030年万博の開催国であり、最注目のパビリオンの一つ。
フィリピン

外観の籐細工をイメージしたデザインは、フィリピンの若手建築家、カルロ・カルマ氏によるもの。フィリピンの織物職人たちによる過去最大規模のコラボレーション。外壁には、18地域を代表する200以上の手織りの織物がパネル展示される。ライブパフォーマンスの舞台も設置。
スイス
文化的、歴史的、社会的な背景を10mの立体的な切り絵で体感できる没入型パビリオン。展示スペースの骨組みは軽量構造で支持されたフィルムで構成し、重量は400kg以下。このフィルムはリサイクル可能で、万博終了後にはデザイン家具に生まれ変わり、サスティナビリティの実現を図る。
パビリオンの屋上にはハイジ・カフェが登場し、スイスと日本のフュージョン料理が楽しめる。前回のドバイ万博でもスイス館はかなりの人気だった。
国内パビリオン
日本館

先日、名誉館長の藤原 紀香氏や総合プロデューサーの佐藤 オオキ氏が登壇した完成記念式典が催され、内部が公開された我らが「日本館」。内壁材や外壁材として使用される木材は、CLT(直交集成板)で、会期終了後は再利用される。

ハローキティが藻類に扮したり、ドラえもんやベアブリックがナビゲートするなど、日本の人気キャラクターが、日本の美意識である「循環」の意義を伝える。世界最大級の「火星の石」の展示も必見。
ウーマンズパビリオン

”ウーマン”という呼称が若干時代錯誤な気もするが、カルティエとのコラボレーションの「ウーマンズ パビリオン」。
日本のジェンダー指数は146カ国中118位(2024年時点)と低迷を続ける中、対話を生み出すハブを設ける。設計は、ドバイ万博日本館を手がけた永山 祐子氏。ビヨンセやザ・ウィークエンドの舞台演出を担当したイギリスの現代美術家 エズ・デヴリン氏が展示空間を手がける。
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当万博プロデューサーの一人、落合 陽一氏によるシグネチャーパビリオン。伸縮性のある膜状の鏡張りの2階建てで、ロボットアームで動かしたり、音で振動させたりすることで生じる視覚効果はインパクト大。外観だけでなく、内部にも鏡を張り巡らせているため、来場者は自身の3Dデータや身体情報などを元に、デジタル世界にアバターを生み出すことができる。さらにアバターと対話も可能。シグネチャーパビリオンの中では、おそらく一番注目されるパビリオン。

見た者だけが万博を知る
大屋根リングはもちろん、会期中各国でナショナルデーが設けられイベントも毎日開催。6ヶ月続くお祭りと考えれば、狂気じみていますが、それが万博。
真面目な話をすれば、冒頭に述べた通り、『大阪・関西万博』のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」です。とかく”いのち”の話をすると、人類主体になりがちですが、地球上に住むすべての生き物の”いのち”をテーマに、世界中から技術や知見が集まる機会が今回の万博です。それがいかに貴重であるか、そしてここ大阪で開催される意義をみんなで考えたいと強く思います。
以上、地球の未来に真剣に向き合う大人の一員になると誓った広報部キョンより、万博予習編をお送りしました。