ROOTS

玉造にほど近い清水谷というエリアにある、韓国料理とナチュールワインのお店『ROOTS』。3月1日にオープン1周年を迎えられました。
内装デザインはKINPON。施工はWitty Supplement。

今回は、仲介を担当したGOが、オーナーのアキラさんにインタビューしてきました。アキラさんと共に厨房に立つお母様(以下、オモニ)も交え、軽快ながらも真剣でアツいトーク、ご覧ください。

本格的な韓国料理をコースで
-GO
アキラさんさん1周年おめでとうございます!僕自身ここのチヂミが大好きで、よく食べに来させてもらってます。
-アキラさん
GOくん、何軒かハシゴしてから締めにチヂミ食べに来てくれますもんね(笑)。いつもありがとうございます。

-GO
いろいろな試行錯誤もあったかと思いますが、この1年はどんな1年でしたか。
-アキラさん
最初の3ヶ月は認知度が低かったためかリピートにあまり繋がらず、正直苦労しましたね。ですが、夏あたりにMeets Regionalに取り上げられたり、SNSで紹介された影響からか、お陰様で売り上げは右肩上がりです。

-GO
飲食業界で売り上げが下がると言われる、2月・8月も軌道に乗せられるのはすごいですね。3月からはコース料理に移行されましたが、手応え的にどうですか。
-アキラさん
お試しで始めたコースですが、良いと思います。客単価のことであったり、「韓国料理でコース」という差別化など様々な要因から始めましたが、やはり有名な料理以外の、普段は選ばない料理も食べてもらって、楽しんでほしいという思いは強いです。アラカルトだと、わかりやすいチヂミとかチャプチェとかどうしても選ぶじゃないですか。「“フェ”ってどんな料理やねん」ですもんね(笑)。
-GO
“フェ”?
-アキラさん
いや、気の抜けた返事みたいに言うて。“フェ”は“刺身”ですね。でも、“韓国風カルパッチョ”なんて言いたくはない。あくまで本格的な韓国の家庭料理として提供したいので。
-GO
また、カウンターのみという内装も相まってコースは向いてますよね。
-アキラさん
そうですね。あと計算して仕込みが出来るので、食材のロスが減らせますし、普通の和食やお寿司のコースに飽きた方が来てくれて、客層の変化にも繋がっています。今はあくまで移行期なので、今後の様子を見て本格的に決めていきたいです。

一番身近な最強のパートナー
-GO
韓国料理とナチュールワイン。すごく希少性が高くて面白いスタイルだと思うのですが、そもそもいつ頃を思いつかれたのですか。
-アキラさん
2013年にソムリエの資格を取得し、フレンチレストランなどで働いていた僕ですが、ある時お客さんに、「韓国人でワインって面白いんちゃう。韓国料理を近くで作れる人がいたらいいのに」と言われまして。その言葉がきっかけで「独立しよう!」となり、すぐに会社を辞め、母に電話しました。

-GO
なるほど。他の誰でもなく、一緒にお店をやるパートナーとしてオモニを選ばれたアキラさんですが、それは昔から作ってもらっていた韓国の家庭料理に絶大な信頼を置かれていたからですか。
-アキラさん
いや、うちはほぼ和食しか出てきませんでしたね。今お店で出してるメニューも、ほぼ家では食べたことないです(笑)。
-GO
そうなんですか!(笑)
-アキラさん
でも、料理の腕には信頼を置いているので、母しかいないなと思い、声をかけました。僕のアイデアや要望にもしっかり応えてくれて、イメージ通りのメニューに必ず仕上げてくれます。コースの構成は僕が考えていますが、実際に作るのは母。食材だけ渡したら、なんでもチャチャっと作ってくれるので、本当に良きパートナーです。

-GO
さすがオモニですね。一番身近に、最強のパートナーがいたわけですね。
-アキラさん
その通りです。ただ、親子ならではの喧嘩はよくします。この1年で4回くらいエプロン叩きつけて店から出ていきましたからね(笑)。

-オモニ
言い方がキツいからね、この子は。でも、自分に似てるところもあるから、イメージなどすぐに共有出来るので、その辺は親子ならではだと思います。でも、やっぱりキツい(笑)。もし、スタッフが普通の子だったらすぐ辞めてるよ、って(笑)。
-GO
それはなんとも言えへんな(笑)。でも、オモニもアキラさんに信頼を置かれてるように見えますけど、どうですか。
-オモニ
お客様目線に立って、常に飽きさせないように、新たなアイデアをどんどん出して挑戦する姿勢はすごいと思っています。経営者に向いているというか。そこは尊敬していますね。

-GO
脳みそと体、ブレーンとプレイヤーという二人三脚で、上手く両輪が噛み合ってお店を運営出来ている感じがしますね。
-アキラさん
僕ら、ビジネス親子なんでね。ビジネスのために一緒にいますから。
-GO
いや、実際にも親子でしょ(笑)。
エンタメ仕様のオープンキッチン

-GO
地元が谷六で、慣れ親しんだエリアにお店を開かれたアキラさんですが、内装はイメージ通りに仕上がりましたか。
-アキラさん
コンクリは使わずに無機質な空間に出来たらな、という想定でしたが、ベニヤで上手く無機質を表現出来たと思っています。赤色はどこかに入れたかったのですが、天井を塗り直したアイデアは、デザイン担当のキンポンさんによるものでした。

-GO
客席が少し小上がりになっているのも面白いですよね。
-アキラさん
それもキンポンさんに任せた部分ですね。あと、カウンターのみでオープンキッチンにしたいというのは僕の要望でした。頭の片隅に、「いずれはコース料理をやりたい」という思いはあったのですが、第一に考えたのは接客。僕と母の掛け合いも込みで楽しんでほしいなと。たまに起きる喧嘩すらもショー的要素というか。まあ、喧嘩が起きたら起きたで、一瞬シーンとはなるんですけど(笑)。

-GO
ダメじゃないですか(笑)。でも、僕もそうですが、オモニの陽気な人柄が好きで通われてるお客様も多いと思います。
-アキラさん
母と話したくて来られるファンの方もいますね。そういう面から見ても、この内装、この人選に間違いはなかったと思っています。


根を張って広げていく
-GO
最後に今後の展望をお聞かせください。

-アキラさん
2030年に年商1億円を目指しています。このお店だけを店舗展開することは考えておらず、別事業に取り組みたいです。どうしてもこのスタイルだと属人化していますし、母がいつまでも店舗に立てるわけじゃない。この店にもリミットがあるわけです。
飲食で別事業をやるとしたら、テイクアウトのチヂミ専門店。テイクアウトに関しては箱も小さくていいし、システムを落とし込んだら展開しやすいなと。

一番力を入れたいのはECサイトを使ったキムチの全国販売。母の味を残したい、世間に広めたいという思いで、すでに動き出しています。是非一度サイトを見ていただきたいです。
あとは、保育事業にも関心があります。“食育”という観点から、未来のある子供たちのために何か出来ればなと考えています。

-GO
思わず聞き入ってしまいました。すごく具体的に目標設定されていて、さすが経営者だなと感じました。
-アキラさん
自分自身がしっかり目標設定しないと動けないタイプなので。とにかくまず2025年は、この店の安定化を目指します。ワインの原料となるブドウの“根っこ”(Roots)のように、清水谷に根ざして頑張っていきたいです。
-GO
その根っこが、色々なところに広がっていくと良いですね。これからも応援しております。改めて1周年おめでとうございます!オモニもありがとうございました!
-オモニ
毎日楽しくお店に立っているので、是非ともお待ちしております。エプロンだけ投げないようにせんとね(笑)。

ROOTS
【住所】大阪府大阪市天王寺区清水谷町15-7 2階
【営業時間】 火曜日〜土曜日 18:00-23:00
【定休日】日曜日、月曜日+不定休