『NATS VINTAGE DIG STORE』祝2周年。古着本来の楽しさを伝えたい。

NATS VINTAGE DIG STORE

南船場にある古着屋『NATS VINTAGE DIG STORE』。買取販売専門ですが、厳選されたアメリカ生まれの品々がお手頃な価格でディグれる、と若者を中心に人気のお店です。

“古着の激戦区”南船場エリアで数店舗経営されている、オーナーのシンペイさんに、仲介を担当したマックスがお話を伺ってきました。古着への愛情や、お店づくりに対する思いが存分に伝わってくるインタビュー、ご覧ください。

出会いは渋井不動産が出来る前

-マックス
シンペイさん、『NATS』2周年おめでとうございます！

-シンペイさん
ありがとうございます。もう2年なんですね。記念日とか忘れちゃうので、渋井さんの連絡で気づきました（笑）。

-マックス
そんな感じなんですね（笑）。
シンペイさんはこういうインタビュー受けられるのって初めてなんですか？

-シンペイさん
ずっと苦手で断り続けてきましたが、お世話になっている渋井さんのためにご協力させていただこうと。

-マックス
ありがとうございます。貴重な機会なので色々伺っていきますね。

-マックス
シンペイさんは弊社代表の浅井とは、だいぶ前からのお知り合いなんですよね。

-シンペイさん
僕が最初に物件探しをした時の担当が彼でした。彼がまだ前の会社に勤めている時で、渋井不動産を立ち上げる前でした。偶然にも同い年で意気投合、今でも経営者目線ならではの意見交換や相談もします。電話で「こういう時どうしてる？」とか。

-マックス
本当に長いお付き合いですよね。今後ともよろしくお願いします。

“セオリー通り”じゃない方が面白い

-マックス
南船場でいくつも古着屋を経営されているシンペイさんですが、古着が好きになったきっかけは何ですか。

-シンペイさん
出身が福島県で、古着屋が全然無い地域で生まれ育ったんです。それでも当時発売されていた雑誌を読み漁っているうちに徐々に興味を持ち出しました。
ファッションの目覚めは、小中高ずっとサッカーをしていたので、小学生のころに「adidasのトレーニングウェアがカッコいいな」と思ったのがきっかけだったように思います。
シンプルなデザインだけどレアルマドリードのユニフォームが好きでしたね。

-マックス
ベッカムとかジダンとかがいた銀河系軍団。野球少年の僕ですら知ってる時代ですね。
そこから関西の大学に進学され、その後自分のお店を持たれるシンペイさん。渋井不動産を立ち上げる前の浅井が見つけた堀江の物件で、最初の店舗を構えられるわけですが、その時まだ大学在学中だったんですよね。実務経験はどれくらい積まれたのですか。

-シンペイさん
当時あまり誰もやっていなかった、オンライン販売は個人でやっていました。ですが、実は店舗で働いた経験は一度もなくて。それに対して周りからも「普通は3年くらい現場を経験してから独立すべき」など色々言われました。
でも僕自身、「無理」って言われれば言われるほど燃える性分で。“セオリー通り”じゃないほうが面白いこともあるじゃないですか。捻くれてるだけかもしれないですけど（笑）。

Model :MAXさん（36）不動産業
Jacket :Abercrombie&Fitchのサファリジャケット ¥10,000
Tops :アートT ¥6,000
Bottoms :Ralph Laurenのデニム ¥8,000

-マックス
そういった経緯から始められた古着屋。次々に店舗を増やされて、今や経営を軌道に乗せられるなんて本当にすごいですよね。

-シンペイさん
今も全然大変ですけどね。悩みは尽きないですし。
始めた当時は展望とかビジョンも特になかったし、ここまで続けられるとも思っていませんでした。
一つ言えるのは、ただただ古着が好きだっただけです。その想いだけでここまでやってきたって感じですね。

-マックス
ある意味、一番健全でリアルですよね。「何かのために」とか考えている人より、ただ「好き」でやっている人の方が強いというか。

古着本来の楽しさを知ってほしい

-マックス
アメ村よりも落ち着いた雰囲気が好き、という理由で南船場を拠点にされているシンペイさん。“古着激戦区の立役者”とも言えると思いますが、ここ『NATS』を立ち上げられた経緯は何ですか。

-シンペイさん
今、古着屋がたくさん増えてきて、古着ユーザー自体も増えているのはいいことだなと思います。と同時に、ヴィンテージと呼ばれる、希少価値の高い古着の価格高騰が目まぐるしくて、異常になっているとも感じます。
当たり前ですが本来古着って、着て楽しむものじゃないですか。僕自身が好きになった古着も、決して何十万、何百万するものじゃないし。だからこそ「買えない、楽しめない」という現状を少しでも変えたくて『NATS』を立ち上げたので、来てくださるお客様には、古着が持つ本来の楽しさを感じていただければと思います。

-マックス
お店の運営方法ですが、買い付けには行かれず、全てお客様からの買取なんですよね。それで、こんなに統一感あるラインナップに仕上がるものなんですね。

-シンペイさん
10年以上という期間で培ってきたネットワークや、系列店舗との連携もあり、買取販売の手法で運営させていただいています。数多くの品から厳選してアメリカンなテイストを演出しています。幅広く買取対応しておりますので、気軽にご連絡ください。

失敗ごときでは“何も失っていない”

-マックス
21歳で会社を立ち上げ、前例や慣習を気にせず、チャレンジし続けてきたシンペイさんですが、その精神はどこからやってくるのでしょうか。

-シンペイさん
先ほども言いましたが、出身が福島県ということもあって、3.11で地元が被災したんですよね。でも幸い僕の家族、親戚に大きな被害はなかった。自分は無事だけど地元が大変、という状況を前に、「自分にできることはなんだろうか」と考えていました。

そんな中、多少のリスクを負ってでも起業して、なにか地元だったり被災地に還元できることをしたいと考えるようになっていきました。
たとえ失敗したとしても、本当の意味では何も失っていない気がして。「それごときで何を失ってる気でいるんだ」と思うんですよね。その精神があるので、何事も恐れずチャレンジできているのかもしれません。

-マックス
なるほど。そんなストーリーがあったとは知りませんでした。
今後、地元・福島に還元するような動きなどは考えられているのでしょうか。

-シンペイさん
毎年義援金を送らせていただいていますが、目に見える具体的な何かも出来ればなと考えてはいます。お店を出すのも一つですし、出張イベントだったり、現地で育てたコットンを使って服を作るとかもいいですよね。何かしらの活動をしていきたいです。

-マックス
地元愛、古着愛に溢れた熱い男、シンペイさん。すごく胸を打つ話ばかりで参考になりました。改めて2周年おめでとうございます！

-シンペイさん
ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
てか、そのジャケットいいっすね。似合ってますね。

-マックス
あざます！

Photo by : MIU