2021年3月某日
あれから1年と半年ほどが過ぎ、この街にも静けさが戻った。もともとそこまで騒がしくなかったが、とにかく静かで何よりだ。
ここは大阪市中央区松屋町、あのスキャンダラスなエリアから一歩外れ、夜は静かな場所。イッツクワイエットナイト。
※今回の話と関係がありそうな、これまでの探偵シリーズ
1.渋井不動産版「探偵物語」〜小西広大探偵事務所編〜
2.「探偵物語2」〜新・小西探偵事務所編〜
3.「探偵物語・最終章」〜ぎをん、ラスト・スキャンダル〜

俺の名前はオザワ。お父さんの「オ」、マザーの「ザ」、何じゃワレの「ワ」でオザワ。仕事を終え、静けさを求め自宅へ帰るところだ。
もう何事も起きてほしくない。アイラブクワイエットタイム。

ーオザワ
ん？

ーオザワ
（これは・・・）

ーオザワ
（もしかして・・・）

ーオザワ
やっぱり・・復活してるやん！！

ガチャ
ーオザワ
あっ
ー小西広大探偵
何かご用ですか？
ーオザワ
えぇ、ちょっと気になることがありまして。
ー小西広大探偵
でしたら中へどうぞ。

ーオザワ
おぉ！！

ーオザワ
（これまで見たジャンクな探偵事務所とは違い、オーセンティックな家具で統一された、海外の映画に出てきそうなオフィス。）
ーオザワ
めちゃくちゃカッコいいオフィスですね！
ー小西広大探偵
ありがとうございます。

ー小西広大探偵
それでは、ご用件をお伺いします。
ーオザワ
あぁ、そうですね。

ーオザワ
実は人探し、というか今モヤモヤしていることがありまして、それをハッキリさせたいのでご協力いただきたいのですが。
ー小西広大探偵
なるほど、どんな内容でしょう。

ーオザワ
小西探偵ですよね？髪の毛切ったのでわかりにくかったかもしれませんが、オザワです。ご無沙汰してます。探偵業復活したんですね。

ー小西広大探偵
違います。
ーオザワ
え、ウソ！？
ー小西広大探偵
本当です。まぁ「小西広大探偵事務所」なので、私が小西探偵であることは間違いないのですが、オザワさんの仰る「小西探偵」とは別人です。

ーオザワ
・・本当ですか？なら失礼しました。まさか「小西+探偵」で、別人の方だとは思わなくて。
ー小西広大探偵
いえ、構いませんよ。ご相談というのはそれだけですか。
ーオザワ
あ、いえ。追加でもう一点ありまして。

ーオザワ
ホンマは？
ー小西広大探偵
・・違いますよ。

ーオザワ
え？本当ですか？似過ぎててもはや違うって言われても信じる気持ちが1％も無いんですけど、どうしたらいいですか。
ー小西広大探偵
私に言われましても困ります。

ーオザワ
あ、わかった。本当はあの小西探偵だけど、僕にバレたくない秘密があるんですね。大丈夫です。そういうの全然気にしないんで、ぶっちゃけてくださいよ。
ー小西広大探偵
そういうわけではなく、本当に違うだけです。

そんな攻防がしばらく続き

ーオザワ
いい加減白状してください！僕にはバレてますよ！あなたが認めないなら、こっちにだって考えがある。こうなったら、あなたがあの小西探偵と認めるまで、このオフィスで好き勝手させてもらいます！
ー小西広大探偵
なんでそうなるんですか。



ーオザワ
よし。君に決めた。

ササッ

ーオザワ
早く認めないと、BGMを勝手に変えて理想の空間をタランティーノ風にしちゃいますよ。

ーオザワ
お次は・・

ーオザワ
ほらほら、早くしないと豆を挽いて理想の空間にグアテマラテイストをプラスしちゃいますよ。

ーオザワ
おや？

ーオザワ
こんなグラサンも見つけました。僕にしっかりフィットしていて、いい感じですよ。ほら、見てください。めちゃくちゃ気に入りました。
ー小西広大探偵
おい、いい加減にしろ。そのサングラス返せ。

ーオザワ
ハハッ、似合っているからってそう怒らないでくださいよ。話は簡単です。あなたがあの小西探偵だということを認めていただければ、それで全て解決するんですから。

ーオザワ
うぃー、っしょっと。

ーオザワ
へぇー、探偵ってこういうオシャレにも気を使ってるんですね。

ー小西広大探偵
すみませんが、お帰りください。
ーオザワ
え。

ーオザワ
わかりました。今日はこれぐらいで帰りますが、また後日来ますからね。あなたがあの小西探偵と認めるまで、僕はここで嫌がらせすることを生きがいに命を燃やしますんで。
ー小西広大探偵
何のモチベーションですか。

ーオザワ
では、このへんで。
ー小西広大探偵
おい、ちょっと待て。

ーオザワ
そのサングラス返せ。

ーオザワ
何言ってるんですか、これはもう僕の一部です。返す返さないじゃなく、僕のものなんです。

ー小西広大探偵
うるせぇよ。
ーオザワ
あ、僕のグラサン！

ガチャ
ーオザワ
ちょっと！返してくださいよ！

ーオザワ
わかりました！そのグラサンを渡してくれれば、今後一切嫌がらせをしないことを誓います！

ー小西広大探偵
・・このサングラスを渡せば、諦めるんだな？
ーオザワ
はい！信じてください！だから扉を開けてください。

ー小西広大探偵
・・よし、わかった。

シャッ

こうして、サングラスは元の持ち主に返り、オザワと探偵の一夜が文字通り幕を下ろした。この記事でお伝えしたかったことは、「松屋町に探偵事務所があります」ということです。
果たして、この新しい探偵事務所は、あの小西探偵なのか。その答えは謎に包まれたままだが、依頼された仕事は全ての闇を明らかにする小西広大探偵事務所。何かお困りごとがありましたら、松屋町のオフィスをお尋ねください。
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