スキャンダラスな街・東心斎橋
ここは眠らない街、東心斎橋。
人間の欲望が充満したこの街で、スキャンダラスな事件が起こる。
ー？？？
（げっ！アイツから電話だ。どうしよ・・出たくないけど、出ないと殴られそうだしな・・。）
「オザワです！どうされました？」
ー？？？
「あぁ、俺だ。ちょっとスキャンダラスな事に・・巻き込まれちまってな。今からじ・・事務所に来てくれないか？」
人物紹介：渋井不動産広報担当オザワ。スキャンダラスな物件を好む。
（うっわ！メンドくさそ！これからもっとスキャンダルを楽しもうと思っていたのに。あの人あんなナリしてるし、ろくな事じゃないよなきっと・・。でも行かないと殴られるなこれは。）
「了解です！すぐ行きます！」
（はー、メンドくさ。）
ーオザワ
（はーーー、メンドくさ。）
ーオザワ
「オザワです！失礼します！」
「うわ！！どうしたんすか探偵！！」
「むっちゃ刺さってますやん！！！」
人物紹介：小西探偵。どうやらスキャンダラスな事件に巻き込まれた模様。
「くっ・・事務所に帰ってきたところを・・やられちまってな。」
ーオザワ
「ひどい出血だ・・早く救急車を！！」
「いや、俺はもう・・ダメだ。探偵も、今日で・・最後だ・・。それを・・伝えたかっ・・」
ーオザワ
「そんな・・」
ー探偵
「」
ーオザワ
「探偵ーー！！！！」
ー探偵
「あー、疲れた。」
「えっ」
「スゥゥゥ・・フゥー」
「探偵・・キズは？」
ー探偵
「ちょっと待て。今仕事終わりの一服を楽しんでるとこだから。」
「え？あ、はい。」
探偵が一服を吸い終わるまでの間、一旦ＣＭです。
トマト本来の旨みを生かした「トマトが濃い」ケチャップ。着色料・保存料は一切使用していない。血のりとしても使われることがあるらしい。
「探偵、キズは大丈夫なんですか？」
ー探偵
「そんなことより、今日は大事な話があって呼んだんだ。」
ーオザワ
「そんなことより？腹にナイフ刺さってることより？」
「さっきも言った通りだが、俺探偵辞めるんだ。」
「はぁ・・。その、言いにくいんですけど、情報量が多いっていうか。ナイフが刺さった状態で言われても・・。仕事辞めるとか以前の、人生辞めることになるんじゃないでしょうか。」
「俺が話したかったことはそれだけだ。」
ーオザワ
「まだ腹に大きな謎が残ったままだと思いますけど。探偵なのに追わなくて良いんですか？」
「っていうか本当に探偵業を辞めるんですか？」
ー探偵
「本当だ。なんだ、俺の言うことが信じられないっていうのか？」
ーオザワ
「この状況が状況なので、まぁそういうことになりますね。」
「本当だっつってんだろこのエテ公が！！だいたい何だお前その口紅は。ナメてんのか。あ？」
ーオザワ
「むっちゃクチ悪っ！」
「俺が刺されて大変だってのに、エテ公のお前は１階でスキャンダラってやがったな。」
ーオザワ
「ふ・・ふびばせん。」（エテ公言い過ぎだろ・・。）
「許せねぇ！！」
ーオザワ
「た、探偵！ストップストップ！！」
ーオザワ
「うぅ！！」
「うぅ！！」
「あぁぁー・・」
「あぁ・・・・・ん？」
「いやこれオモチャっすやん。今まで何やってたんすか探偵。わざわざ刺されたフリなんかして。」
「今回はそれだけどな、次ナメたマネしたらおもちゃじゃ済まさねーぞ。」
ーオザワ
（すげーな。フリの件は無視かよ・・。）
ー探偵
「ほらよ。」
ーオザワ
「えっ？」
「いや、ほらよって言われても。ケチャップまみれのＴシャツとかいらないんですけど。なんなら質の悪いトマトよりトマトですよこれ。」
「洗っとけ。」
ーオザワ
「えっ、ウソでしょ。まだ着るの？」
「ちょっと、探偵！どこ行くんすか！」
「探偵！こんなの洗っても無理ですよ！ほぼトマトですもん！」
「探偵ーー！」
さらば探偵
ここまで読み切っていただいた皆様、お疲れ様でした。この記事で伝えたかったことは「小西探偵が探偵業を辞める」というその一点のみです。
全３編にも渡る「探偵物語」ですが、この記事をもって最終章となります。「最後はやっぱり刺されＥＮＤだよね」ということでスタートしたこの記事。これが正解だったのかどうかはわかりません。そして今後の探偵はどこへ行ってしまうのか、それは我々が知る由もありません。なぜなら彼は、その全てが謎に包まれた、探偵だったのですから。
完
小西探偵の過去記事はコチラ
↓↓↓
「探偵物語」vol.1
「探偵物語」vol.2
