※登場人物
サトシ:渋井不動産の広報担当。別名「パンチパーマの人」。
Hey,Siri!!
なんで?
ププッ
Hey,Siri!!
ありがとう。さっきはキツく言ってごめん。
ププッ
スタスタスタスタ…
※あんじょう:「いい具合に・うまく」の意。
京の都
そんなこんなで、Siriのヒントを便りにやってきたのは京の都。降り立った駅はJR奈良線・京阪本線「東福寺駅」。渋井不動産がお店を構える「淀屋橋駅」から一本で行けます(乗り換えた方が早いですが)。
駅名にもなっている「東福寺」ですが、どうやらそこに日本最古のトイレが眠っているとのこと。
今日が『世界トイレの日』と聞いて、最先端の便器特集でもしようかと思ったのですが、僕は最新のモノを追いかけるよりも、物事のルーツを辿る方が性に合っているんです。
ところで、なぜ11月19日が『世界トイレの日』なのでしょうか。調べてみたところ、日本ユニセフ協会が以下のように解説していました。
世界トイレの日
世界ではいまだ、約20億人がトイレを使えない現実があります。トイレがない人たちは、バケツやビニール袋にうんちをしたり、屋外で排泄をしたりしているのです。
うんちには、病気を引き起こす細菌がたくさん含まれています。トイレがないところでは、
細菌たちがさまざまな所から体内に侵入。それらが原因で、免疫力の弱い子どもたちは下痢を発症し
1日に800人以上が、命を落としています。
そんなトイレにまつわる問題を、世界のみんなで考え、少しでも改善していくために。2013年、国連は毎年11月19日を「世界トイレの日」(World Toilet Day)と定めました。
(参照URL:https://worldtoiletday.jp/)
なるほど、よく分かりました。しかし「なぜ11月19日なのか」というところまでは分かりませんでした。ですので、ここでは「お偉いさんが決めたから」という思考停止スタイルでいきましょう。
そんなことよりお腹が空いてきました。日本最古のトイレを見に行く前に、まずは腹ごしらえといきましょう。
DRAGON BURGER
腹ごしらえに立ち寄ったのは、東福寺駅からスグ近くの『ドラゴンバーガー』さん。前日にブルース・リーの『燃えよドラゴン』を観た僕にとって、行かない手はありません。
いかにも京都らしい古民家を改装したお店は、平日のお昼時だと言うのに店内はパンチクリン。お店の外まで漂うジューシーな匂いが食欲を刺激します。
※ドラゴンバーガー:京都府京都市東山区本町13-243
秒速でたいらげました。
感想としては、お世辞抜きにめちゃくちゃ美味しかったです。肉汁溢れるジューシーなパティにもちもちのバンズ、そしてピクルス代わりに京漬物が盛り込まれた京都ならではのハンバーガーです。皆さんもお近くに寄った際は是非に。
ごちそうさまでした。
東福寺
さて、腹ごしらえを済ませて駅から歩くこと約10分、ようやく目的の「東福寺」に到着しました。
来てみて驚いたのが、人の多いこと多いこと。カップルや修学旅行生、ご年配の老夫婦など、老若男女様々な人たちで賑わっていました。東福寺は紅葉の名所としても有名ですから、今の時期なんかは特に書き入れ時です。
いつも思うのですが、こういう所って修学旅行とかで連れて来られるよりも、ある程度オトナになってから自分で来たほうが楽しめると思います。修学旅行中の男子生徒が考えることなんて、どうやって女子部屋に侵入するか、どうやって女子風呂を覗くかぐらいのもんでしょう。かつての僕がそうだったように。
また、写真の建物は「三門」と呼ばれ、なんと国宝です。不動産業に関わる者の端くれとして、大昔の建築様式にドキドキが止まりません。
本坊庭園
広い境内の中で、最も賑わっていたのがこの本坊庭園。
細かい解説については写真の説明書きを読んでいただくとして、入場料は大人500円の小人300円。
さては、ここに日本最古のトイレがあるのでしょうか。ならば500円ぐらい身銭を切る覚悟です。
重森ワールドが炸裂していましたよ。なんて言いながら、この作家さんを知ったのは今日が初めてです。が、忘れかけていた和の心を思い出させてくれました。
しばらく庭園内をウロウロしていると、ついに発見しました。
人感センサーが搭載されている時点で日本最古なわけがありません。そもそも、日本最古のトイレがこんなにガバガバセキュリティーなわけがありません。
ですが、ピュアな女性の皆さんにとっては貴重な一枚になったのではないでしょうか。男子トイレってこんな感じです。以後、お見知りおきを。
日本最古のトイレを求めて境内をウロウロしてみましたが、なかなか見つかりません。siriの言うことを信じた僕がバカだったんです。
もう諦めて帰るとしますか。
と、思ったそのとき。
日本最古のトイレ
お待たせいたしました。
先生の話を盗み聞きした結果、ようやくお目当てのモノに出会うことができました。この建物こそ、僕が求めていたものです。
その名も「東司(とうす)」といい、室町時代前期に建設された日本で最大最古のトイレとして、国の重要文化財にも指定されています。
先述した通り、お寺が備えるべき諸設備を「七堂伽藍」と言うのですが、この東司もれっきとした七堂伽藍のひとつなのです。
規則的に並んだいくつもの穴。お察しの通り、あの穴こそが便器です。言わずもがな、今のような水洗式ではなく継ぎ足し方式。うなぎ屋さんとか焼き鳥屋さんの秘伝のタレみたいなもんです。ちなみに、溜まった用便は作物の肥料として売買されていたのだとか。当時のお寺にとって基調な収入源だったわけです。うんちがお金に変わるなんて、今となっては夢みたいですね。
色んな学者さんが色んな見解を述べているようですが、「他人が用を足している姿に頓着しない」という修行の一環だったという説が今のところ有力だそうです。そのため、東司の中は私語厳禁だったんだとか。
であれば、、
我ながら、なかなかタメになる回になったのではないでしょうか。合コンの席でも話のネタになりますね。「日本最古のトイレはどこ?」の問いに「東福寺の東司!」と答えられる人が世の中にどれだけいるでしょうか。
トイレは紛れもなく生活になくてはならない設備のひとつです。それだけに「ウォシュレットがなきゃ嫌だ」「和式なんて論外だ」などのこだわりが出てきてしまうのは致し方ありません。しかし、日本最古のトイレを知り、それを使っていた僧侶たちの気持ちになれば、今ご自宅にあるトイレに、より一層愛着が沸くと思います。
さて、帰ってトイレ掃除でもしましょうかね。
それではまた、サトシでした。