
残すところ約2ヶ月となる大阪・関西万博。日本館をプロデュースしたnendoの佐藤オオキ氏も“この会場が6ヶ月限定で無くなってしまうのが馬鹿げていていい”と言っていたが、ほんとそう。最後まで思う存分楽しみ尽くそうということで、前回の「エイキチが厳選!大阪・関西万博2025ユニフォーム」に続き、キョン編をお届け。“私ならこのユニフォームで働きたい!”という目線で万博を楽しんでみるのもアリでは。
【シンプル&小ワザ部門】
●TECH WORLD

台湾の最新デジタル技術を紹介するパビリオン「TECH WORLD(テック・ワールド)」。台湾は博覧会国際事務局(BIE)に加盟していないため、玉山デジタルテックという民間企業が出展する形をとっている。
ユニフォームの見た目はシンプルだが、台湾産のトウモロコシ繊維と牡蠣から作られたサステナブル素材を使用。胸元に描かれている模様は、台湾杉のデザイン。季節に応じて両袖を取り外し可能といった機能性も考えられている。帽子もよくお似合い。
●電力館 可能性のタマゴたち

電気事業連合会が出展する「電力館」のユニフォームは、パビリオンの特徴である、様々な形の平面を組み合わせた「ボロノイ(※1)構造」をデザインに採用。生地の裁断位置によって一つとして同じシャツは存在しないとのこと。フルジップのジャケットがシンプルでありながら、女性が着用していることも相まって、えらい男前。
※1平面上にランダムに配置された複数の点同士の距離によって領域を分割した図。キリンの模様やトンボの羽など自然界にも存在する。
【カジュアル部門】
●インドネシア館

朝9時から陽気な音楽を爆音で流し、ノリノリだった「インドネシア館」。ユニフォームと言えるのか怪しい、ほぼ私服とも言える服装。唯一の共通点は“柄を取り入れる”というラフさ。呼び込みダンスが話題で、万博を一番楽しんでいる国と言っても過言ではないそう。
●ドイツ館

歓迎モード全開の「ドイツ館」のユニフォームは、Tシャツとジャージー素材のセットアップ。帽子はハットとキャップの2タイプ。ピンバッジも日常使いしやすいデザイン。左手女性のように、ストラップに各国のピンバッジをコレクションして交流を深めているのも万博の裏ムーブメント。
【デザイナー部門】
●null2

落合陽一プロデュースのシグネチャーパビリオン「null2(ヌルヌル)」。FACETASMのデザイナー落合宏理氏とのダブル落合コラボ。みんなも1アイテムは持ってるであろう、ファミマのコンビニエンスウェアもデザインしている同氏。ユニフォームは、袈裟をベースに頭のてっぺんからつま先までこだわったそう。パビリオンの世界観と実にマッチしている。
●日本館

初見で「このユニフォームで仕事がしたい!!」と熱烈に感じた、我らが「日本館」のユニフォーム。デザインは、パリコレにも出展する実力派のPOSTELEGANT。
ボタンやファスナーなどの服飾資材をほぼ使わず、リサイクルの手間が劇的に省けるモノマテリアルにこだわる。ユニフォームは万博終了後に回収され、再商品化することを検討している。まさしく日本館のテーマ“循環”に繋がる。そしてこのユニフォームキャップ&ハットは、なんと公式ショップで販売されていて購入できる。9,350円というガチプライスだが、結構欲しいかも…。
●NTTパビリオン

電動ファンによって膨れ上がってる様が、コミカルで親しみを覚えるこちらのユニフォームは、世界で活躍するANREALAGEのデザイナー森永邦彦氏によるもの。LVMHプライズのファイナリストであり、ビヨンセの衣装デザインも手がける。
パビリオンのコンセプト「PARALLEL TRAVEL」に基づき、“風を纏う”構造で、通気性と吸水速乾性に優れた素材が採用されている。帽子やバッグは廃漁網から再生された糸を使用しているのだとか。先進性において、等身大の未来が見えるユニフォーム。
【色とりどり部門】
●ガスパビリオン
おばけワンダーランド

一般社団法人日本ガス協会のパビリオン「おばけワンダーランド」。裾のスナップボタンをパチパチすれば、ズボンにもジャンパースカートにもなる仕様。トップスも色とりどり。NHKの歌のおねえさんになった気分になれるのか、むちゃくちゃ愛想が良かった。胸元には目のマーク。靴下まで徹底しててめっちゃキュート。
●パナソニックグループパビリオン「ノモの国」

「パナソニックグループパビリオン」のユニフォームは、車いすでの脱ぎ着がしやすい形状や、ジェンダーの区別なく自由に組み合わせられるアイテム展開など、DEIの視点を盛り込んだデザイン。パビリオン外観のオーガンジーと呼応して、涼しげで素敵。
☆キョン賞☆
ウーマンズパビリオン

「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」のユニフォームはタダものではないと目をつけていたが、やはり期待は裏切らない。なんと、国内外で人気のsacaiのデザインである。ストレートスラックスに、トップスはいかにもいい生地を使っていると思われる開襟シャツ。
中央女性は袖口がバルーンぽくなっていて、sacaiらしいハイブリッドな雰囲気。バッグはカルティエ。ミーハーな私は、やっぱりこのユニフォームに心を射止められた。

というわけで今回は比較的国内パビリオン多めに紹介してみた。猛暑の中、笑顔で来場者を迎えてくれるスタッフたち。ユニフォームは、その原動力にきっとなっているのではないかと感じる。
残りの会期中、写真には残せない、遠い国の人たちの言葉や匂い、初めて食べる食材、近い将来日常になるであろう技術に初めて触れた時の感覚など、目と耳と鼻と肌全部で感じたい。2ヶ月後には無くなってしまうからこそ、訪れた人や関わった人それぞれのストーリーを持ち続けられるのが、万博最大の魅力だと強く思う。
万博を終わらせない、終わらせたくないので、また万博コラムでお会いしよう。