『てんしば公園』や『あべのハルカス』など、再開発が著しい阿倍野・天王寺エリアだが、この地区には百年以上の歴史を持つ路面電車が現役バリバリで走っている。その名も阪堺電気軌道上町線、いわゆる「ちんちん電車」だ。
今さらだが、なぜ「ちんちん電車」と呼ぶのだろうと調べてみると、どうやら昔の車掌さんが“チンチン”という音が鳴るベルを使っていたからだそうだ。
やってきたのは昭和44年築の鉄骨造アパートメント。見ての通り階段物件だ。勇んでストレッチしてみたが、紹介の部屋はたかだか2階。14段の階段なので、7段飛ばしで駆け上がればたったの2歩で上りきれる。
エレベーターがないというのも立派なウィークポイントであるが、2階程度ならまだ許容範囲内だろう。もうひとつのウィークポイントとしてはバルコニーがないということ。かと言って浴室乾燥機もない。家庭用の乾燥機を買うか部屋干しのどっちかだ。
2つのウィークポイントを挙げたところで早速室内を見ていこう。
いきなり告白したものだからさぞかしパニクっているだろうが、あくまでも「室内の雰囲気が好き」という意味だ。妙な勘違いはしないでくれ。
シューズラックはゆとりある幅感で建て付けらており、ハイカットスニーカーでも型崩れを起こす心配はない。
30㎡の1K
メインの居住空間となるのは6.5帖の洋室。
決して広くはないが、奥にベッドを置いて手前にソファとテレビを置けばそれなりにインテリアも楽しめるはずだ。床座スタイルのジベタリアンならもっと広々と使えるだろう。
「日当たり抜群」と言えるほどではないが、南向きの窓からはそれなりの太陽光が差し込んでいる。おかげでカラッとした室内環境だ。
※ジベタリアン:地べた(床)に座る人。
床はフローリングでもなければクッションフロアでもない。ただのコンパネだ。しかしそれでいい。足し算ではなく引き算で導き出されたシンプルなデザインは何年住んでも飽きがこない。オシャレと呼ぶには程遠いが、ダーティーで男らしい仕上がりとなっている。
押入れの襖が外されたことによってダイニングテーブルとしても使えてしまう。DJブースにするにしてもちょうど良い高さだ。仮に収納として使う場合、カーテンレールが取り付けられているので恥ずかしいコレクションも隠しておくことができる。安心してくれ。
写真をよく見てもらえればお分かりいただけるが、天井にはアンカーが数箇所打ち込まれているので、観葉植物をぶら下げるなんてこともできる。インテリアの幅も広がるに違いない。
ちなみに、当物件の内装デザインを手掛けたのは『9(ナイン)株式会社』。ホテルの内装から店舗デザイン、一般住宅のリノベーションに至るまで、数多くの実績を持つデザインオフィスだ。余談だが、代表取締役の久田氏はスポーツが苦手だそうだ。
誰かに部屋を自慢する際、ちょっとした小咄として覚えておくといいだろう。
※『9株式会社』公式HP→https://www.ninedesign.jp/
キッチンの対面には洗濯機置き場。冷蔵庫は洗濯機の横に置くことになるだろうか。
水回り
洗面台は超小ぶり。顔を洗うだけでも一苦労なサイズ感だ。朝シャンの難易度ときたら絶望的。もはや手洗い場と言ったほうがしっくりくる。
風呂とトイレはどちらもFutoo!!の一言。セパレートなだけで万々歳だが、念のために確認しておこう。
※Futoo!!:普通に良い。
阿倍野区王子町一丁目から登場したこちらの物件は30㎡の1K。最寄りの阪堺電気軌道上町線「松虫」駅からは徒歩3分、谷町線「阿倍野」駅からは徒歩8分ほど。
簡素な内装だが、抑えるべきポイントはバチッと抑えられている。この飾り気の無さに男心はくすぐられるのだ。エレベーターとバルコニーがないという弱点はあるが、それらの弱点は賃料に反映する。
敷金ゼロの礼金1.5ヶ月、賃料は共益費込みの5.7万円。
正直なところ、5万円台で我々のツボを突く物件はなかなか出てこない。そんな中現れたこちらの物件、さぞかしすぐに埋まってしまうことだろう。
お問い合わせはお早めに、渋井不動産まで。
(物件番号:59798)