レイニーな雨が降り続く今日この頃、いかがお過ごしだろうか。そんな私は京橋商店街にやって来た。なぜかって?もちろん、渋い物件を探すためである。私のハートをくすぐる物件はないかと目を凝らしていると・・・
水色の男
ん?あの男は・・・。
間違いない、渋井不動産広報担当のオザワではないか。こんなところで一体何をしているのだろうか。たい焼き屋の前でずっと何かに悩んでいる様子だ。きっと、つぶあんにするか白あんにするかで迷っているのだろう。
なんてやつだ。まさか100円のたい焼きも買えないほど金に困っているというのか。相当腹が減っていたのだろう。おばちゃんの「待て!水色ー!」という声が商店街に響き渡る。私としても目の当たりにした手前、この愚行を見過ごすワケにはいかない。
おばちゃんの為にも、オザワ本人の為にも、とっ捕まえて然るべき処罰を受けさせなければならない。そんな使命感に駆られた私は、代わりに100円を支払いすぐさま彼の後を追った。
それにしても上に逃げるとは、自らを窮地に追い込んでいるようなものだ。
それにしても変わった形のキッチンだ。コンロ置き場とシンクがセパレートになっているではないか。
しかしここにもいないとなると・・・
洗面とバスルーム
いない。ここもハズレだったか。
そして洗面台はバスルームとユニットされている。このことでホースの使い道がなおさら分からなくなった。一体どこに向けて放水すればいいのやら。小さめの浴槽には追いだき機能もついているが、オザワを追う手掛かりにはならなかった。
まるで猫のような俊敏さだ。猫と言えばこの部屋はペットの飼育可だが、今は関係ない。この和室が4.5帖とはいえ、さらに奥へと移動しわざわざ襖を閉める余裕すらも見せている。なるほど、ヤツはきっと逃げているわけではない。我々を弄んでいるようだ。
バルコニーからのビューは商店街の屋根。鉄骨フェチにはたまらない光景だが、この足場をつたって逃げたとでもいうのか。もしくは、屋根をすり抜けて上に逃げたという可能性も考えられる。だとすればもはや人間業ではないが、確認してみる価値はある。よし、5階に行ってみよう。
5階は最上階
あいにくジャンプ力に乏しい私は階段で5階に向かう。オザワを追うついでに仕入れた情報によると、この物件は4階と5階をセットで貸し出しているらしく、事務所としての使用もできるようだ。ま、そんな余談は置いといて、肝心なのはオザワの行方だ。
事務所感溢れる洋室
余計な設備や無駄なスペースを徹底的に排除したこの洋室は5.5帖。決して広くはないが、個人事務所にするにはもってこいなシンプルで四角い部屋だ。そのため、オザワが隠れそうな場所もない。
洪水注意報
アルミ色の扉を開けると屋上バルコニーにつづく。バルコニーにはプレハブが置かれており、いかにもオザワが隠れていそうである。それにしても異常なほどの水溜まりだ。いや、水溜まりなどの生易しいものではない。もはや洪水のレベルだ。連日の雨によるものなのか、オザワが仕掛けたトラップによるものなのかは分からぬが、少なくとも排水がイカれていることは確かだ。これはさすがに修理してもらう必要があるし、きっと対応してくれるはずだ。
おっと、また話が逸れてしまった。きっとこのプレハブの中にオザワは隠れている。ヤツの体力もそろそろ限界を迎える頃だろう。
ガラリ
スタミナ切れのオザワはもう逃げる素振りを見せなかった。どうやら観念したようだ。なぜあんなことをしたのか問い詰めると、「ムシャクシャした」という答えが返ってきた。彼も人間、きっと色々あるのだろうと思ったが、あのような行いは決して許されるものではない。深く反省したオザワは、持ち前の俊敏さでたい焼き屋のおばちゃんに謝罪しに行ったのだった。
が、これで終わりではなかった。
ルーフバルコニー
正真正銘のルーフバルコニーだ。赤いフェンスを隔てた向こう側はお隣さんの敷地なので、勝手に入らないように。お隣さんと仲良くなればここで一緒にコーヒーでも飲むといい。
ちなみにハシゴは思っていたより頑丈でしっかりしていたぞ。
余談ではあるが、今回オザワが逃げ込んだ京橋ビルヂングは、4階と5階合わせて3K。ペットの飼育・SOHO利用も可で、各線「京橋」駅からは徒歩5分圏内のナイス立地だ。5階の水捌けは極めて悪いが、オザワの罪は水に流すとしよう。
敷金はゼロの礼金は15万円、賃料は管理費込みの6万円というグッドプライスだ 。屋上に倉庫が付いた、京橋の商店街内ビルヂング。好きな人は好きだろうが、こんな物件は狙っても出るものではない。
お問い合わせは渋井不動産まで。
(物件番号:46789)
P.S.たい焼き屋のおばちゃん、ご協力ありがとう 。