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京橋商店街ビル
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やぁ、渋井不動産の時間だ。

レイニーな雨が降り続く今日この頃、いかがお過ごしだろうか。そんな私は京橋商店街にやって来た。なぜかって?もちろん、渋い物件を探すためである。私のハートをくすぐる物件はないかと目を凝らしていると・・・

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水色の男

ん?あの男は・・・。

間違いない、渋井不動産広報担当のオザワではないか。こんなところで一体何をしているのだろうか。たい焼き屋の前でずっと何かに悩んでいる様子だ。きっと、つぶあんにするか白あんにするかで迷っているのだろう。

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ーオザワ
すみません、カスタードひとつください。

ーおばちゃん
あいよー!

素早い手つきでたい焼きを包むおばちゃん。そして「つぶ」でも「白」でもない、カスタードだった。

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ーおばちゃん
はいどーぞ。

ーオザワ
どうもー。

ーおばちゃん
100円だよー。

と、その瞬間。

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逃げた!

なんてやつだ。まさか100円のたい焼きも買えないほど金に困っているというのか。相当腹が減っていたのだろう。おばちゃんの「待て!水色ー!」という声が商店街に響き渡る。私としても目の当たりにした手前、この愚行を見過ごすワケにはいかない。

おばちゃんの為にも、オザワ本人の為にも、とっ捕まえて然るべき処罰を受けさせなければならない。そんな使命感に駆られた私は、代わりに100円を支払いすぐさま彼の後を追った。

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急いで後を追うと、目にも留まらぬ速さで階段を駆け上がるオザワを確認。普段は「運動なんてしたくない」が口癖のくせに、こんなときになんて脚力だ。

それにしても上に逃げるとは、自らを窮地に追い込んでいるようなものだ。

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2階にはBAR

後を追うと、2階部分にはシャレオツな雰囲気漂うBARがあった。たい焼きをアテに酒を煽るとも思えないし、何よりまだ店は閉店中だ。ここに逃げ込んだとは考えにくい。

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3階はネイルサロンだったので、恥ずかしがり屋のオザワがそこに逃げ込むとは考えにくい。きっとこの4階に身を潜めているはずだ。観念しろ、絶対に捕まえてやる。
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ドアを開けるとそこに玄関土間はない。靴は外で脱ぐか、そのまま上がるアメリカンスタイルかのどっちかだ。玄関前にオザワの靴は見当たらなかったが、恐らくここに潜伏しているはず。

それにしても変わった形のキッチンだ。コンロ置き場とシンクがセパレートになっているではないか。

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気が利く食器棚

ここかと思い天袋を開けてみると、オザワの姿はなかった。が、代わりに何やら見慣れないものがあった。

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取っ手をもって手前に引くと、このように手が届きやすい位置までおりてきてくれる。たとえ背が低くても収納に困らないスグレモノだ。ダンパー的なものが付いており、勢い余ってガンッとなることもないし、手を話せばゆっくりヌルッと元の位置まで戻ってくれるので、割れやすい食器なども安心してしまっておける。

しかしここにもいないとなると・・・

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ここが怪しいな。扉を開ければそこはバスルームだが、その前に鏡の位置が気になる。ひょっとしてここが洗面だろうか。その昔、洗面ボウルを固定していたであろうビス穴が4点確認できるが、その真相は不明だ。ホースで顔を洗えとでも言うのか。
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洗面とバスルーム

いない。ここもハズレだったか。

そして洗面台はバスルームとユニットされている。このことでホースの使い道がなおさら分からなくなった。一体どこに向けて放水すればいいのやら。小さめの浴槽には追いだき機能もついているが、オザワを追う手掛かりにはならなかった。

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トイレにもいないようだ。

そして思いのほか新し目のトイレだった。

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諦めかけたその時

キッチンの向こう側に、見覚えのある水色のシルエットを発見。ついに姿を現したな。よく頑張ったがそこまでだ。

ガラリ

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は、はやい。

まるで猫のような俊敏さだ。猫と言えばこの部屋はペットの飼育可だが、今は関係ない。この和室が4.5帖とはいえ、さらに奥へと移動しわざわざ襖を閉める余裕すらも見せている。なるほど、ヤツはきっと逃げているわけではない。我々を弄んでいるようだ。

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襖を開けるとまた4.5帖の和室が現れるが、またもや逃げられてしまった。だが、さっきのように襖を閉めるほどの余裕はないようだ。なぜならそこはバルコニー、もう逃げ場はない。

そこまでだ。ガラリ

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扉を開けたそのとき、カメラは水色の男が高くジャンプする姿を捕らえた。
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そして消えた。なんてやつだ。

バルコニーからのビューは商店街の屋根。鉄骨フェチにはたまらない光景だが、この足場をつたって逃げたとでもいうのか。もしくは、屋根をすり抜けて上に逃げたという可能性も考えられる。だとすればもはや人間業ではないが、確認してみる価値はある。よし、5階に行ってみよう。

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5階は最上階

あいにくジャンプ力に乏しい私は階段で5階に向かう。オザワを追うついでに仕入れた情報によると、この物件は4階と5階をセットで貸し出しているらしく、事務所としての使用もできるようだ。ま、そんな余談は置いといて、肝心なのはオザワの行方だ。

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事務所感溢れる洋室

余計な設備や無駄なスペースを徹底的に排除したこの洋室は5.5帖。決して広くはないが、個人事務所にするにはもってこいなシンプルで四角い部屋だ。そのため、オザワが隠れそうな場所もない。

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ここか?

さすがに違ったか。であれば・・・

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洪水注意報

アルミ色の扉を開けると屋上バルコニーにつづく。バルコニーにはプレハブが置かれており、いかにもオザワが隠れていそうである。それにしても異常なほどの水溜まりだ。いや、水溜まりなどの生易しいものではない。もはや洪水のレベルだ。連日の雨によるものなのか、オザワが仕掛けたトラップによるものなのかは分からぬが、少なくとも排水がイカれていることは確かだ。これはさすがに修理してもらう必要があるし、きっと対応してくれるはずだ。

おっと、また話が逸れてしまった。きっとこのプレハブの中にオザワは隠れている。ヤツの体力もそろそろ限界を迎える頃だろう。

ガラリ

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めちゃくちゃ疲れていた。

スタミナ切れのオザワはもう逃げる素振りを見せなかった。どうやら観念したようだ。なぜあんなことをしたのか問い詰めると、「ムシャクシャした」という答えが返ってきた。彼も人間、きっと色々あるのだろうと思ったが、あのような行いは決して許されるものではない。深く反省したオザワは、持ち前の俊敏さでたい焼き屋のおばちゃんに謝罪しに行ったのだった。

が、これで終わりではなかった。

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隠れスポット

オザワを捕獲したところで帰路につこうと思ったのだが、水捌けの悪いこのバルコニーにはもうひとつの隠れスポットがある。全体重を預けても大丈夫なのかと不安になるハシゴを恐る恐る上ってみよう。

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ルーフバルコニー

正真正銘のルーフバルコニーだ。赤いフェンスを隔てた向こう側はお隣さんの敷地なので、勝手に入らないように。お隣さんと仲良くなればここで一緒にコーヒーでも飲むといい。

ちなみにハシゴは思っていたより頑丈でしっかりしていたぞ。

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一日一善、良い行いをした日は例え曇り空でも気分は晴れやかだ。

余談ではあるが、今回オザワが逃げ込んだ京橋ビルヂングは、4階と5階合わせて3Kペットの飼育・SOHO利用も可で、各線「京橋」駅からは徒歩5分圏内のナイス立地だ。5階の水捌けは極めて悪いが、オザワの罪は水に流すとしよう。

敷金はゼロ礼金は15万円、賃料は管理費込みの6万円というグッドプライスだ 。屋上に倉庫が付いた、京橋の商店街内ビルヂング。好きな人は好きだろうが、こんな物件は狙っても出るものではない。

お問い合わせは渋井不動産まで。
(物件番号:46789

P.S.たい焼き屋のおばちゃん、ご協力ありがとう 。

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  • オザワが逃げ込んだ商店街の水浸しビル、込6万円。
  • 都島区

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