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俺が愛するセイコーシャリオ。

シンプルなデザインで使い勝手が良い。どんな服装にも溶け込んでくれる、まさに至極の一品。

ジョブズが愛用していた理由が、なんとなくわかる。

 

 

 

 

 

グッジョブズ

 

 

 

 

 

そんなセイコーシャリオだから、俺はいつも腕に巻いている。

巻けば巻くほど、レザーが徐々にしなやかになってくる。

「俺の腕にフィットしてくる」感覚が、日常の小さな幸せだった。

ペットが「おすわり」や「お手」ができるようになり、共通の言葉が生まれた喜びを知るのと似た感覚かもしれない。

 

 

こいつが刻んだ時間は、俺と共に過ごした時間でもある。

冬の凍えそうな日

夏の溶けそうな日

そんな厳しい時間も、俺達は一緒だった。

 

 

ある日

俺は相棒を腕から外し、入浴前に伸び切ったヒゲを整えることにした。

顔中にジェルを塗るそのひととき、ある異変に気づいた。

 

 

 

 

 

なんか汗くさい

 

 

 

 

 

その日、夏ではあったが俺はずっと事務所にこもっていた。

汗をかくタイミングなど全く存在しなかった。にも関わらず、異変が俺の鼻をかすめたのだ。

自分の服を嗅いだ。が、もちろんそんなニオイなどしない。足も同様だった。

 

 

俺は排水口を睨んだ。確かに永く手をつけていない場所。

ここか、と希望と恐怖を抱えたまま近づいてみる。

違った。

 

 

いったいどこから・・

俺は頭を抱えた。そしてその瞬間、気づいた。

 

 

 

 

 

俺の手がクサい。

厳密に言えば、俺の左手首。いつもアイツがいた場所、そこから酸っぱいニオイがする。

俺は慌てて相棒を手に取り、レザーを嗅いだ。

使い古したキャッチャーミットのニオイがした。

連日の猛暑の中、甲子園で白球を追いかける画が思い浮かぶ。

高校時代、地区予選で敗退した俺だったが、こんな形で甲子園に出場するとは思ってもいなかった。

 

 

夏のレザーについて調べてみた。

「汗を吸い、ニオイの原因になる」とのことだった。

俺と相棒の、長い時間をかけて培ったフィット感が仇になっていたのは、悲しかった。

 

 

そして俺はすぐにレザーを新調した。

生まれ変わった、セイコーシャリオ。

夏はもうすぐ終わり、厳しい冬が来る。

これからまた俺たちは、新しい時間を共にする。

 

 

刻むのは、信頼。

セイコー シャリオ

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  • 俺とセイコーシャリオ

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