5月某日、渋井不動産に一通の手紙が届いた。
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背景 渋井不動さん
こんにちは、いつも楽しくブログ読ませてもらってます。
僕の名前はヤスヒロ(36歳)。勇者です。
突ぜんですが、僕を取材してください。理由は、自分でもよく分かっていません。たぶん承認欲求ってやつです。現在カノジョはいませんが結婚を真剣に考える歳になってきましたし、そろそろ勇者の引退も考えるようになりました。
そこで、「世の中の人にもっと僕のことを知ってもらいたい」という気持ちがつおくなってきました。
なので渋井不動さん、僕をフューチャーしてください。
5月◯日◯時、神須牟地神社で待っています。
敬語
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とのこと。
勇者からの突然の手紙、渋井のジャーナリズム精神が沸々と湧き上がる。文面から察するに、どうやら学はあまりないようだが、俄然興味はある。

というわけで、手紙で指定された「神須牟地神社(大阪市住吉区)」にやってきた。いかにも勇者らしい粋な待ち合わせ場所だ。勇者ヤスヒロとは一体どんな人物なのだろうか。
コツコツコツ…
???:あなたが渋井不動さんですね?
渋井:ええ、渋井不動産です。そういうあなたは・・・?
後ろを振り返ると、そこにはいかにも勇者っぽい男が立っていた。
勇者:はじめまして、勇者ヤスヒロです。まさか、本当に来てくれたんですね。
渋井:もちろんですよ。勇者に会えるまたとない機会ですから。しかし、なぜこんなところで待ち合わせを?
ピクッ
勇者:今、「こんなところ」と言いましたか?この神須牟地神社、平安時代の記録にも残ってる古い神社なんですよ。神産霊大神という、“物事を生み出す力”を司る神様が祀られてましてね。それも勇者にとって必要な力なんです。
渋井:へぇ、意外と博識なんですね。手紙で受けた印象と違うというか・・・。
勇者:勇者ですからね。ま、こんなところで立ち話もなんですから、僕の自宅に来ませんか?ここから歩いて2分ぐらいなので。
まさか勇者の自宅に招かれることになるとは。一体どんな家でどんな暮らしをしているのだろう。知られざる勇者の私生活を覗き見するチャンス。ますます渋井のジャーナリズムが止まらない。

勇者:ここです。
連れられてやってきたのは、築40年はゆうに超えるであろう鉄骨アパートの2階。
渋井:へぇ、勇者って意外と庶民派なんですね。もっとお城みたいなところに住んでいると思っていましたよ。”ここに住む理由”みたいなものもあるんですか?
勇者:現実は質素なもんですよ。勇者は目指すものであって目立つものではないんです。ここに住む理由はいたってシンプル、安くて広いからです。
渋井:それって勇者ギャグですか?お名前のヤスヒロに掛かってるとか?
勇者:言っている意味がよく分かりません。とりあえず中へどうぞ。
ガチャリ


渋井:ほぇぇぇ、めっちゃ広いじゃないですか!
勇者:そうでしょう。36㎡のワンルームです。畳に換算すると約21帖。一人暮らしには贅沢な広さですが、勇者たるもの、これぐらいの広さは必要なんです。
渋井:勇者って毎日何してるんですか?
勇者:太陽よりも早く目を覚まし、神須牟地神社で世界と人類の平和と発展を祈り、その後は神社前の西長居公園で平和の象徴である鳩にパン屑をやる。それが終われば周辺をパトロールして、昼過ぎに自宅に戻って休養を取る。夕暮れ時に目を覚ませば、沈みゆく太陽に尊敬と畏怖の念を示し、その後はYouTubeで情報収集といったところでしょうか。
渋井:なるほど、勇者も楽じゃないですね。大忙しじゃないですか。
勇者:楽を求めるようじゃ勇者は務まりません。若い頃はこれで良かったんですが、だんだん身体ひとつじゃ足りなくなってきましてね。部屋住みとして弟子を募集しはじめたんです。


勇者:この通り、弟子たちが住み込みで修行できるように食卓や寝床もこしらえたんですが、何ぶんこのご時世でしょ?今どき勇者を志す若者なんていなくてね。
渋井:勇者も人手不足なんですね。ところで勇者って儲かるんですか?
勇者:お金で動くようでは真の勇者とは言えません。勇者とは志しこそがすべて。たとえ力があっても志しがなければ、それは無力と同じなんです。
渋井:なるほど、深いですね。ちなみに僕はココロ刺しよりもレバ刺しが好きです。

渋井:ところで、お手紙には「引退を考えている」とありましたが、部屋に生活感がないのはそのせいですか?
勇者:さすが渋井不動さん、鋭いですね。この部屋を未来ある勇者に明け渡そうと思いましてね。キレイさっぱり掃除しました。後継者を探すのに渋井不動さんのお力を借りたかったというのも、手紙を出した理由のひとつです。
渋井:なるほど、そういうことなら任せてください。「安くて広い」は勇者でなくとも誰もが欲しがる条件です。水回りもチェックさせてもらっていいですか?
勇者:もちろんです。

勇者:コンロはありませんがキッチンはこんな感じです。ガスにも電気にも対応できるので、コンロはお好みのものを。
渋井:既製品のシステムキッチンにはない魅力がありますね。オリジナリティに溢れていて高評価ですよ。



勇者:勇者たるもの、身だしなみにも気を使わなくてはいけません。これなら身支度もデトックスもバッチリでしょう。
渋井:バッチリです。ここまでしっかり揃ってるなら、次の入居者・・・じゃなくて勇者もすぐ見つかると思いますよ。
勇者:さすがは渋井不動さん。
渋井:でも、引退を歳のせいにするにはまだ若いと想うんですよね。だってヤスヒロさん、まだ36歳でしょ?本当は他にも理由があるんじゃないですか?
勇者:・・・。そうなんです、実は・・・。

勇者:コレを持ち上げられなくなってしまって・・・。
渋井:潮時ですね。

というわけで勇者ヤスヒロの後継者、募集中。いまいち勇者というものの実態は掴めなかったが、どうやら勇者の世界も色々と大変らしい。我こそはという志しのある方にぜひ、勇者ヤスヒロの意志を継いでほしい。
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渋井不動さんでした。
Property Hunt By : ダニエル