本日9月30日に、開店1周年を迎えられた『酒場 字あまり』。長堀橋の住宅街に溶け込み、季節の日本料理を提供する、落ち着いた雰囲気の隠れ家的なお店です。施工・デザインを担当したのは渋井不動産。
今回、店主の徳田さんに独立に至るまでの経緯や、実際にお店を運営していく中での気付きなどを伺ってきました。
筆者一人で行こうとしたものの、「美味しい料理とお酒が味わえるなら」と、驚異の低音ボイスが武器の長老ディレクター、チーフが急遽同行することに。アダルトな雰囲気でお酒を酌み交わしながらのインタビューになりました。
“うどん”と“レゲエ”がルーツ
-エイキチ
この度は1周年おめでとうございます！
-徳田さん
ありがとうございます。
-エイキチ
以前はうどん屋で、約18年間社員として働かれた徳田さんですが、独立に至るまではどういった経緯だったんですか。
-徳田さん
高校を出て、料理の専門学校に行きました。卒業後はうどん屋で働きながら、ずっと音楽をやってたんですよ。レゲエシンガーとしてステージで歌っていたんですが、25歳の時にきっぱり辞め、料理一本で行こうとなりました。そこから一つのお店でなんやかんや18年働きました。
-エイキチ
転々とはせず、一つのお店で働き続けるのもすごいですよね。独立したいという意志はいつ芽生えたんですか。
-徳田さん
店主がすごくいい人で、朝まで飲んで寝坊した時も許してくれたり（笑）、大変お世話になりました。
そんな中でも独立の意志はずっとあって、30歳くらいからは芽生えていました。長い間うどんがメインだったので、他の一品にもこだわりたいなと思い始めたんです。それがコロナもあり伸びに伸びて、去年ようやく独立を果たしました。周りの仲間からも、「ようやくか。やるやる詐欺かと思ってたわ」と言われました（笑）。
-エイキチ
すごくメニュー数が豊富ですが、どうやって決めていらっしゃるんですか。うどん屋での経験を活かしたメニューが多いんでしょうか。
-徳田さん
出汁に関してはうどん屋時代にしっかり学んだので、そういった経験を活かしておでんなどを提供しています。
他の料理は、食べ歩きとかで色々吸収したものをチョイスしていて、考える作業もすごく楽しいです。鍋料理もやっているので、いまだにうどんは出していて、前のお店から仕入れさせてもらっています。
少しだけ枠からはみ出す
-エイキチ
お店の施工・デザインに関しては弊社が担当させていただきましたが、具体的にはどのあたりにこだわられましたか。
-徳田さん
動線や厨房に関しては僕の意見が反映されたと思います。受けたアドバイスで意外にも気に入ったのは壁の色ですかね。こんなに黒くするイメージはなかったのですが、結果的にハマったかなと思います。
店に入ってすぐ右側にあるサインも気に入ってますね。フォントは友人に依頼したんですが、お店のイメージに合っているといろんな人に言われます。壁のタイルも雰囲気に合っていると思っています。
-エイキチ
これめっちゃカッコいいですよね。外にありそうなものが中にあるというか。
-急に喋り出したチーフ
そういえば。オープン当初にお邪魔した時、店名の由来をお聞きしたんですけど、お忙しくされていて結局聞けなかったんですよね。なぜ『字あまり』なんでしょうか。
-徳田さん
季節の料理を出すので、それにちなんだ名前がいいなと思った時に、季語を使う「俳句」というテーマが浮かんだんです。しかも自分が歌い手だったということもあって俳句は歌だしピッタリだなと。そこから、「五・七・五」の枠に収まるのは面白くない。かといって、はみ出しすぎるのは無粋になる。そう考えた結果、『字あまり』という言葉を選びましたね。飲み屋っぽくもなくていいかなと。
-顔が赤くなってきたチーフ
めっちゃいい。。飲食店を始める予定もないのに、「ええ名前取られた！」って感じがして、なぜか悔しいです。
-エイキチ
なんでやねん。
やってみてわかる、やりたいこと
-エイキチ
長堀橋を少し北に歩いたところにある『字あまり』さんですが、飲食店がひしめき合っているエリアではないですよね。ここを選ばれた理由、またオープンから1年経って、お店の現状はどうでしょうか。
-徳田さん
もともと人見知りな性格なので、人通りが多いところより落ち着いたエリアを探していたので、この場所はしっくりきました。
結果的に、近所にお住まいの年配のご夫婦なども来店されるなど、地域密着な感じで出来ているかなと思います。一見さんよりは常連さんが多いという意味ではイメージ通りかもしれません。
お客様も徐々に増えてきて、1周年を機に、席数もオープン当初の11席から20席まで増やすことになりました。ありがたいことです。
-エイキチ
最後に、今後の展望をお聞かせください。
-徳田さん
もともと一人でやるようにお店を作ったのですが、やっていくうちに2店舗目という発想も生まれてきました。業態は例えば立ち飲み屋とか、まだはっきりとは決まっていませんが、教えられる人が現れたら任せてみて、そういう流れにしていけたらなと考えてはいます。
実際にやってみてから、本当にやりたかったことがわかった気がします。
-エイキチ
深い言葉ですね。今、新しいことをやる前に悩んでる人も、とりあえずはまず動いてみてほしいですよね。そしたら見えてくるものがある。実際にチャレンジすることが大事なんですよね。
-徳田さん
そんなことを言いながら、飲みや趣味にお金を使ってしまう性分なので（笑）。こだわり出したら止まらないんですよ。この間はまあまあ良い釣具を買いました。
-仕上がっているチーフ
そういう破天荒なマインドは、レゲエミュージシャンって感じですね。
-徳田さん
確かにそうかもしれません。気をつけます（笑）。
-エイキチ
お料理どれも美味しかったです。今日はありがとうございました！
落ち着いた雰囲気の店内と、寡黙そうに見えながらも優しいオーラを纏った徳田さんの作る料理に、夢中になること間違いなしの『酒場 字あまり』。僕もチーフもすっかり仕事を忘れ、楽しいひとときを過ごさせていただきました。
この度は、改めて1周年おめでとうございます！
酒場 字あまり
【住所】大阪市中央区南船場一丁目7-8 ダイアパレス順慶町 104
-【営業時間】17:00-22:00頃ラストオーダー
【定休日】月曜日(その他Instagramをご確認ください)