LINEの無料通話をスピーカーでトランシーバー代わりにし、自分の近況を西区にいる上司に報告する。
K「共用部はどんな感じだ?」
o「エレベーターが無いですね。ということは・・」
K「部屋は渋いだろうな。よし、突入せよ。」
急いで4階まで駆け上がる。
K「ふむ。家についたらすぐにご飯が炊けるのか。まさに『パパっとライス』だな。」
o「確かこのキッチン横に、新しく洗濯機置場ができるんですよね?」
K「えっ、あ、うん。」
K「それは良い。設備は強いに越したことはないからな。調理スペースはどうだ?広いか?」
o「えっと、ちょっと待ってください。今確認します。・・・あ、なるほど。」
K「えっ!?そんなに写真あるの?」
o「あっ、写真は1枚です。8枚は葉っぱの数です。エイトリーブズ、どうぞ。」
K「ややこしいわ!ってかどうでもいいわ!」
K「そのトイレなんだが、実はそこもこれから少しだけ改装が入って、ウォシュレット付きになるらしい。」
o「アップデートされるんですね。それは良かっ・・・・ん?隊長!何かあります!」
K「(隊長?)」
K「Futooか?」
o「洗面と合体しているタイプというだけで、いたってFutooですね。伸びたシャワーがアジャ・・アナコンダみたいです。どうぞ。」
K「お前今アジャコングって言おうとしただろ。」
K「そこの広さは11帖だ。雰囲気はどうだ?」
o「床は無垢風のフロアシート、天井は躯体剥き出し、照明はスポットライト、まるでデザイナーズマンションですね。どうぞ。」
K「かなり渋そうだな。」
K「なんで待ってくれないんだよ!」
o「これは・・ウォークインクローゼット。抜群の収納力ですよ。どうぞ。」
K「4帖のダイニングキッチンと11帖の洋室、さらにウォークインか・・これは恐ろしい住み心地だな。」
疲れをものともせずにバイクを走らせると、またあの景色が目に入った。
「あの部屋は誰が住むのだろうか。」
そんなことを思いながら、事務所へ戻るozawa。彼の潜入調査はこれからも続く。
完
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