探し物はキッチンですか
もしもあなたがマンションの一室を買うなら、”部屋の主役”をどこにしますか。もしもそれが「キッチン」ならば、ぜひとも見ていただきたい74㎡のお部屋がございます。
中央線・千日前線『阿波座駅』徒歩4分。森ノ宮や奈良方面までも電車1本で、なんなら梅田や難波、堀江だって自転車で5〜10分の距離感。あなたが求めていたキッチンは、ごりごりの市内中心部にありました。
物件概要
阿波座セントラルハイツ
・築年月:1974年11月
・総戸数:180戸
・所在地:大阪市西区立売堀六丁目7-43
・構 造:SRC造11階建
・施 主:東光商事株式会社
・施 工:鹿島建設株式会社
・管 理:三菱地所コミュニティ株式会社
・最寄駅:中央線・千日前線「阿波座駅」 徒歩4分
長堀鶴見緑地線「西長堀」駅 徒歩9分
お部屋に入る前にあらかじめお伝えしておくと、当物件はエレベーターの止まらない”スキップフロア“です。7階まではエレベーターであがり、階段でワンフロア上った8階に目的の一室があります。
しかしながら、ご覧のように各部屋に続く階段はほぼ専用のようなもの。一般的な共用廊下に比べ、玄関まわりのプライバシーは守られているように感じました。
もとは5DKの間取りを大幅にリノベーションした当物件は、デザイナーの柳原照弘氏による空間。玄関を開けて最初に目につく水回りの壁も、ドア枠の無い一枚板のような工夫が施されています。
大阪・京都を拠点に活動する柳原氏は、「デザインする状況をデザインする」という考えのもと、KARIMOKU NEW STANDARDなど国内外のプロジェクトに参加。佐賀県有田焼創業400年事業のディレクターも務め、建物のリノベーションだけでなく商品開発なども携わるデザイナーさんです。
何も知らずに当物件を訪れたとて「ただのリノベーションじゃない」と感じるインパクトがあり、実際お部屋招かれた方が意匠やデザイナーさんについて尋ねることも多かったそう。
キッチンとの出会い
そんな当物件の中でもひときわ存在感を放つのが、22帖LDKにある「キッチン」でございます。
現オーナー様に話をお伺いすると、その出会いもなかなか運命的なもので、「以前たまたま見かけたデンマーク製のオーダーメイドキッチンが印象に残っていて、リノベーションする際にダメ元で問い合わせたら、”規格外のサイズ”ということもあり残っていたんです」とのこと。そこからキッチン主役の部屋に設計され、この空間が仕上がりました。
友人知人を招いて料理をふるまうことが多かったそうで、5〜6人座れるカウンターキッチンから広々とリビングを見渡せる間取りは、「キッチンが主役の部屋」を理想としたオーナー様のこだわりが詰まっています。
リビングから見えるキッチンは、IH4口のコンロとカウンター部分のみ。シンクは右手の壁を隔てて別で設けられており、”魅せるキッチン”がとことん徹底された仕様です。
キッチンとの出会いを踏まえてこの光景を見ると、この部屋に来るのを待っていたかのような存在感ですね。
「ミシュランを獲得した寿司屋のカウンターですよ」と言われてもすんなり信じてしまいそうな印象すら受けますし、調理に立つ人を無条件に大将と呼びたくなる衝動にかられます。
内側から見ても、使い勝手やデザインに抜かりはありません。調理スペースに段差を設け、コンセントが仕込まれている点も見逃せないディテール。
収納はコンロ下のみに留め、洗い場にも分散。改めてみると、とても一般家庭では見られないような迫力のあるキッチンです。
そしてこちらが、セパレートされた洗い場。広々としたシンクは、どんな大きな鍋も洗いきれる頼もしさ。
ビルトインされた食洗機は、ドイツ製ブランド「Miele(ミーレ)」のもの。デザインはもちろん、品質や耐久年数にもこだわったブランドで、食洗機に関してはその容量も特徴のひとつです。
ちなみに、表のIHコンロもミーレのものが設置されています。
では、第二章へ
主役の魅力を余すところなくお伝えできたので、物件紹介は第二章へ。まずは小休止として、バルコニーをどうぞ。
眺望は、紛うことなきマンションビュー。市内に住むなら仕方ないよね、と割り切る潔さが必要です。
しかし、これほど阻まれたポジションにもかかわらず、僅かながらも日当たりが差し込んでいるのは、むしろ興奮に値する奇跡とも言えるでしょう。
あえてリノベーション素材に
では、改めて玄関からどうぞ。
LDKのリノベーションに対して、玄関や水回り、洋室はおおよそ従来の配置通りになっています。床や壁は施工が施されていますが、間仕切りを取っ払うといった変更は加えていません。
例えば「市内でリノベーションできるハコを探している」という方ならば、当物件は願ってもないハコだと思うのです。特に、広い土間や自分好みの収納スペースをつくりたい方にとっては、すでにリビングが仕上がっている分、そういったスペースに費用や注力を注ぐことができます。
こちらは、わたしが考えた玄関から洋室にかけてのリノベーション例。上が現状の間取り、下が提案する間取りです。
ざっくり言うと、6帖と3.5帖になっている洋室をひとつに纏め、広めのウォークインクローゼットを新設。広々とした収納を設けることで、玄関横の物入れを取っ払い、土間を拡張するといった内容でございます。
現状、玄関はタイトなシューズボックスのみなので、土間を拡張した暁には壁に沿ってシューズラックを取り付け。
ゆとりある土間はホームパーティーなど客人を招いた際も靴を並べやすいですし、ベビーカーの乗り入れも楽々でしょう。
写真は土間の段差を活かした構図ですが、当物件に置き換えると、新設したカウンターの下に靴箱を格納するといった方法も使い勝手が良さそうですね。
そして、現状の洋室はカーペット敷き。提案する間取りでは、ここの壁を取っ払ってL字型の洋室に仕上げています。
本棚を真ん中に配置するなど、レイアウト次第で寝室+書斎といった使い方も想定。もちろん、大前提として壁が取っ払えるかは事前調査が必要です。
寝室をL字にすることで、ゆるくセパレートされた2つの空間。一方にベッドを配置し、もう一方にはデスクや本棚などをどうぞ。
また「どんな床を敷くか」によって、部屋の印象は大きく変わるでしょう。写真は大理石風のタイルが敷かれていますが、LDKと同じく無垢床に統一したり、使い勝手の良いフローリングやカーペットを敷き直すといった選択肢もあります。
ちなみに、洋室についてはひとつ朗報です。すでにエアコンがついているのです。これを読んでいるあなたも、きっとガッツポーズをしちゃいましたね。
壁にスリーブ穴をあけてエアコンを新設する場合、一般的には管理組合の許可が必要だったり、構造上スリーブがあけられないなど設置自体が難しいのも珍しくありません。
あらかじめそこがクリアになっていることは、ここを寝室にするうえで強くアピールしておきたいポイントとなります。
そして、今回ご提案する間取りのメインともいえるのが「ウォークインクローゼット」の新設。現状、洋室と玄関横に設けられている収納を、一箇所に集約するイメージです。
図書館の棚のように両面使いできる収納ラックで間仕切ることにより、クローゼット側はハンガーポールや引き出しなどの「収納」、通路側は本や小物を「ディスプレイ」する想定をしています。
仕上げの水回り
では、最後に水回りを見ておきましょう。提案用の間取りでこの辺りは触れていないものの、モノ自体を入れ替えるなど検討の余地はございます。
洗面台や洗濯パンはまだまだ現役。パウダールームで追加するならば、ストック用の棚や吊り戸でしょうか。
LDKが十分仕上がっている分、その改装費用はバスルームやトイレのアップグレードにも充てられます。
浴室に追い焚き機能を追加したり、シャワーをちょっと良いものに取り替えたりと、細かいところまでこだわりを詰め込みたくなりますね。
では、お待ちかねのローンシュミレーションのお時間です。
阿波座から登場した74㎡の2LDKは、販売価格2,490万円。金利0.475%・頭金なしの元利均等返済35年ローンを組んだと仮定すると、管理費・修繕積立金込みで月々8.4万円ほど。
例えばここに1,000万円のリノベーション費用を上乗せすると、月々の支払額は11万円ちょっとになります。これで夢が膨らまない方はいないはず。
今回はわたしのリノベーション例で話を進めましたが、家族構成やライフスタイルなど、あなたの趣味嗜好を存分に反映してくださいませ。自宅兼仕事部屋を探していた単身の方にとっても、めちゃくちゃ刺さる一室に違いありません。
リノベーションのご相談も承っております。まずは渋井不動産まで、お気軽にお問い合わせを。
【良かった点】
◎スペック高めの主役キッチン
◎駅近、利便性の高い立地
◎あたたかみのある無垢フローリング
◎理想が叶う74㎡のゆとりある広さ
【気になった点】
△エレベータースキップフロア
△眺望