ここは国道４３号線、「安治川大橋南詰」交差点にある歩道橋の上である。住所で言えば、港区弁天四丁目、ＪＲ環状線・地下鉄中央線「弁天町」駅から徒歩３分ほどの場所だ。この４３号線をずっと真っ直ぐ行けば、ギャルの聖地「須磨海岸」まで迷わずに行ける。

なぜ今日ここに来たかというと、どうやらこの４３号線沿いに「愛車を眺めながら眠れるメゾネット」があるという噂を小耳に挟んだのである。車が通るたびにグラグラ揺れる歩道橋の上で、全神経を研ぎ澄ませて本日のターゲットの位置を探る。

む、１０時の方向に何やら反応がある。

なるほど、あの白い建物だな。

入り口前に到着した。控えめな草間彌生風の壁が特徴的だ。なんでも、このマンションはいわゆるデザイナーズマンションなのだとか。確かにデザインに凝ってる感は少しある。早く室内が見たいものである。

草間彌生風を通り抜けた先にはオートロックが完備されている。が、私の前ではそれも無力と化す。

「オープンセサミ」

私ほどのレベルになると、この一言で世の中にある大体のオートロックをパスすることができる。実にイージーだ。

※オープンセサミ：「開けゴマ」の意。

ここが本日のターゲットだ。１０６号室ということなので「トム」と名付けよう。それではさっそくトムの内部にイグニッション。

やぁトム、会いたかったよ。

玄関土間には単身用としか思えないシューズボックスがスタンバイ。その向かいには全身鏡も貼り付けられているので、出かける前の身だしなみチェックに重宝するだろう。

壁の色は濁りのない純白。膨張色である白が部屋全体を広く見せてくれると同時に、黒い床が全体の雰囲気をギュッと引き締めてくれている。

車庫とメゾネット

玄関土間を上がると、プライバシーというものをフル無視した７帖の空間が現れる。あえて「部屋」とは表現しないでおこう。少なくとも、居住空間として使えるかと言われれば「う〜ん」である。

上階と窓の向こう側に見えるガレージ、みんなが気になるのはどっちだろうか。聞いてはみたが、わざわざ階段を往復するのもしんどいので、当物件のイチオシポイントであるガレージから先に見ることにしよう。

ガレージに出るためには、まずこの位置からカクッと９０度左を向こう。卒業式で体得した方向転換技術がここで活きてくる。

カクッと左を向けば玄関ドアとは別のドアがある。普段の足が車だという人は、主にこのドアから出入りすることになるだろう。

あなた専用ガレージ

ドアを開けるとそこにはあなた専用のガレージがある。あいにく鍵を持ち合わせていなかったので、シャッターを開けることはできなかった。「オープンセサミ」だけではどうしようもないことだってあるのだ。そして壁の草間彌生はさっきよりもさらに控えめだ。

別の角度からも見てみよう。

ガレージがあるのは嬉しいことだが、重要なのはそのサイズ感であろう。「ガレージハウスだってぇぇぇ？」と勢い余って申し込みしたところで、もし肝心の車が入らなかったらオシマイである。ちゃんと測ってきたぞ。ぜひ参考にしてくれ。

・横幅：２.３ｍ
・高さ：２.１８ｍ
・奥行き（車輪止めまで）：３.８１ｍ
・奥行き（オレンジの壁まで）：４.５７ｍ

ちなみにこの数値は全てシャッターが閉まることを前提にした数値だ。「別に閉まらなくてもいい」と言うのなら、もう少しロングに見積もってもいいかと。

居住空間としては使えそうにないほどプライバシー丸出しの室内であるが、改めて考えてみると、ここを寝室にしてしまえば毎日愛車を眺めながら眠りにつくことができる。あなたの可愛い寝顔も赤の他人に眺められることになるが。それが耐えられない場合はカーテンを付ければいい。愛車も見えなくなるが。

次は上階に向かおう。

上階はＬＤＫ

階段を上るとそこには１１帖のダイニングキッチン。色々と気になるものがあるが、まずはどこから見ていこうか。

写真左手の折戸の奥でうっすらと透けているのはもしや・・・。

ステルスキッチン

ﾊﾟｶﾘ

ビンゴ。やはりキッチンであった。いくら身を隠そうとて私の目を誤魔化すことはできない。なかなか上手に隠れてはいたが、肝心なのはそのスペックである。

スペックはＩＨの２口、調理スペースは狭め。単身用と考えれば十分のスペックだ。さらにキッチン左側には単身用冷蔵庫がジャストフィットしそうなスペースが設けられている。冷蔵庫をステルスできるのは御の字である。思わずキッチンを前に正座してしまったほどだ。

大容量収納

トイレの横には大容量の収納。全体的に収納力は弱めの物件ではあるが、それを補うようにデカいのを一発ビルトインされている。ウォークインクローゼットと呼べるほどの大きさはないが、「半歩インクローゼット」ってところだ。

次にバスルームとバルコニーを見てみよう。

ある意味３点ユニット

浴槽と洗面台が同じ空間にあるタイプのバスルームだ。ついでに言うと、同じ空間に洗濯機置き場があるというトリッキーぶりを見せている。鏡越しに壁から蛇口がニョッキリしているのが確認できるだろうか。そこである。浴室乾燥もビルトインされているので、洗濯機から洋服を取り出してすぐさま干すことができる。

収納 or ベッド

上階に来たときからずっと気になっていたのだが、可動式収納の多さに目が余る。いい感じの位置にコンセントがあるので、ここをベッドにしようと思えばできないこともない。そう考えた私はさっそく寝っ転がってみたが、可動式ゆえに安定感がゼロであった。しかもキャスターにロック機能はない。もっと言えば、ここをベッドにしようものなら「愛車を眺めながら眠る」という計画が水の泡である。

オーナーに「この収納、邪魔なんで何とかなりませんかね」と聞いて見たところ、「ちょっと難しい」との回答だったぞ。計画は諦めてベッドとして使ってくれ。

おさらい

トムと名付けておきながら、１回しかその名を呼ばずに終わった弁天四丁目のメゾネット１ＬＤＫ。広さは４５㎡で専用ガレージ付きだ。さらに、小型犬or猫に限り１匹だけならペットの飼育も可能である。その場合にはプラス４０００円が加算される。

最寄駅はＪＲ環状線・地下鉄中央線「弁天町」駅からともに徒歩５分圏内。４３号線をブッ飛ばせばギャルの聖地「須磨海岸」まで約１時間半だ。

敷金ゼロの礼金１ヶ月、そして気になる賃料は共益費込みの１０.６（トム）万円、しかも条件変更ありでペットの飼育も可だ。

お問い合わせは渋井不動産まで。
（物件番号：４６７１１）