ＳＮＳを制するには「引っ越し」

待ちに待ったゴールデンウィークに突入した。世間は。ＳＮＳが旅行先のハッピー写真で埋め尽くされる、幸せ競争の始まりとも言える。そんな幸せ競争で一番になるためには何をすれば効率が良いか。「良い部屋に引っ越す」ことだ。「引っ越したのでその近況報告」という大義名分を掲げながら、自慢の部屋をネットの海へ放流するのだ。するとみるみるうちに「いいね！」が溜まり、見たこともない記録を打ち出すことだろう。

というわけで、本日は渋井式『ＳＮＳで引っ越し報告』の方法、とりわけインスタグラムでの掲載の仕方をレクチャーしようと思う。いつもとは少し異なる物件紹介になるが、寛大な心で見守ってほしい。

それではスタート。

・私事ですが、このたび西区の江戸堀一丁目に引っ越しました。
・築４０年近い物件なのですが、中はリノベーションされていたので清潔感があり、とても気に入りました。
・ナチュラル感の勢いがすごくて、私の生活もナチュラルになりそうです。

ポイント：引っ越したと言うと「どこに？」という質問が必ず来るので、エリアも併せて報告すること。返答の手間を省きつつ、人気のエリアであればそれもさりげなくアピールできる。
また、「よく考えると意味不明なワード」を放り込むことで、引っ越しでテンションが上がってハッピーなんだなと思わせることができる。

リノベーションされたて

・洗面台も新品で安心しました。

ポイント：「新品」というワードによって、読者に「リノベーションされたて」というイメージを刷り込むことが可能。白米でもそうだが、人は「できたてホカホカ」にハッピーを感じやすいので、このワードは投げれるだけ投げるのが吉。

＃さよならユニットバス

ポイント：これはかなり高度なテクニック。普通に良い風呂の写真だけを上げてしまっては「自慢？」と妬みを買ってしまう。だが、ハッシュタグでこれまでユニットバス生活だったことを添えることで、読者は『この人は今までホソボソと暮らしてきたんだ。苦労と節約を重ねて今にいたってるんだな。』と応援する形で理解してくれるようになる。

ポイント：「ウォシュレット」というワードでトイレのスペックを悟らせ、水の使用量で清潔感をアピール。

ポイント：このリビングは広い部類に入る。そんな中で広さだけを伝えてしまうと「自慢？」と嫉みを買ってしまうが、急な角度から旦那をイジることで、広さをアピールしつつ話題を逸らす手法。

ポイント：「ビルトインエアコン」と書いてしまうと『さっき知ったような横文字使ってんじゃねーよ』と攻撃されかねないので、日本語でなるべくまろやかにするべし。

ポイント：火力の強さを歴史的行事で例えることで、その地方の人達を味方につけるという高度なテクニック。

３ＬＤＫ

・この洋室は７帖、以前私が住んでいたワンルームと同じ広さです。ほかにも同じような部屋が２つあるのですが、夫は一番狭い部屋に割り振ろうと思います。

ポイント：３室全てが洋室であること、家庭内での裁量権は自分にあることをアピールすることで、Ｆ２層からの支持を得ることができる。

ポイント：冗談を交えつつクローゼットの広さをアピールする手法。

ビッグすぎるバルコニー

・２階なのにこんな広いバルコニーが勝手に付いてきました。

ポイント：「勝手に」と他人行儀にすることで、『この広大なバルコニーがきっかけで選んだわけじゃない』ことを匂わす。これにより、「ビッグバルコニーなんて贅沢だ！謝罪しろ！」という攻撃が来ても精神的ダメージは少ない。

良好な日当たり

・向かいのビル内にある会社に就職できれば、仕事中も自宅を見守れて安心なのに。

ポイント：本当は日当たりの良さをアピールしたいが、それだと炎上は避けられない。なので、全く違う話題で日当たりの良さをサブリミナルにアピール。

ポイント：自身のバルコニーも隣人同様になるポテンシャルがあることをアピールし、さらにサントリーホールディングスも我が物にしようというパワープレー。少々危険だが、成功すれば「いいね！」のリターンは大きい。

西区江戸堀一丁目から現れた３ＬＤＫのファミリー物件、今年の４月にフルリノベーションが行われたばかりで、賃料は１５万円。

あとＳＮＳでの報告の際は、「最寄りの肥後橋駅まで３分」ということを盛り込んでもいいかもしれない。

お問い合わせは、渋井不動産まで。